灰谷健次郎さんが亡くなられました。「兎の眼」や「砂場の少年」など数々の感動の名作は、私の読書の原点だったように思います。ご冥福をお祈りします。

失われた町

失われた町

三崎亜記の新作。「となり町戦争」のときは酷評した私ですが、これは良いぞ。多分世間的な評価は逆だろうし、セールス的にも逆になるのでしょうが、SF作家三崎亜紀としての実力を如何なく発揮した作品で、この人本来の作家性がとてもよく出ている作品だと思います。「となり町戦争」のときは、いろんな意味での誤読が多くてある意味不幸であったかもしれません。
お話としては、どこかのジャパニメーションかハリウッド映画で観た事あるような無いような、微妙に村上龍も入っているようなという設定なんだけど、飽きさせません。クライマックスシーンでは、それはとてもとても静かなシーンなのだけど、涙をさそう情景が描写されており、なかなか読ませる作品でした。損はしませんよ。評価B+