出版社共同で1つの文庫レーベル
ちょと面白い話を聞きました。噂によると、複数の出版社が共同で一つのレーベルの文庫を出そうという企画が進められているのだとか。通常、文庫と言うのは、新潮社だったら新潮文庫、角川書店だったら角川文庫というように、一つのレーベルは一つの出版社から刊行されるのが普通なのですが、今回の話はA社B社C社があわせて「ABC文庫」というのをたちあげて、A社からもB社からもC社からもABC文庫が発売されるという企画なのだそうです。ふむふむ、今まであまり聞いたことの無い斬新な企画です。
これが実現すると、大手版元による文庫市場の寡占化が崩れる可能性があるという意味で、ちょと興味深い企画です。例えば中堅版元のA社は、自社で文庫レーベルを持っていないが故に、単行本でヒットを飛ばしてもそれを文庫化して継続的にコンテンツを販売することができず、泣く泣く30万程度のはした金で大手版元に文庫化権を売らなければならなかったのが、共同レーベルがあれば自社で文庫化できるわけです。
具体的な例を挙げてみましょう。この例には他意はないのですが、
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新人物往来社
- 発売日: 2005/06/21
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 46回
- この商品を含むブログ (112件) を見る
勿論倉庫を共通化することなど、レーベル共通文庫には越えなければならないハードルもあるのですが、中小の出版社にとっては、結構いい話なんじゃないかなーと思ったりしました。中規模の版元が無理にがんばって文庫レーベルを一社で出して息切れ失速するぐらいであれば、肉を斬らせて骨を断つこの戦法も有効なのでは?