古本屋の女房

古本屋の女房

そういえば、この本について何も書いていなかった気がします。ちょっと古い本ですが、名著なので改めて紹介を。
なんで、この本を思い出したかというと、この本の冒頭で、著者の田中栞さんが古本屋の女房になったきっかけとなった渋谷の山下書店が、今日で閉店となったからなのでした。副都心線の開通に伴う東急文化会館のあたりの再開発で、テナントインしているビル自体が立ち退きになるらしいです。田中さんは、この店が山下書店になる前の、まだ渋谷書店と呼ばれていた昭和54年にバイトを始めご主人に出会われたと書いておられます。
まあ、そのへんの話は冒頭の11ページでおしまいになって、本編は横浜にあった古本屋黄麦堂での日常を描いた秀逸なエッセイ。本屋さん関係の本は、職業柄100冊ぐらいは読んでいると思いますが、この本の文章の面白さは相当なもので、本屋さん関係本のマイベスト5には入るのではないかと思います。特に古本屋さんのリアルな日常を描いたものとしては、これ以上のものは無いような気がするなぁ。
ブックオフでセドリばかりしてたので、家にあるビニール袋が全部黄色だった、とか、店内にあった新潮文庫の在庫の応募マークを全部切り取ってひたすらYondaClubに送っていたため、「文豪カップソーサー」からパンダ人形、腕時計にいたるまで全種類を獲得、トートバッグにいたっては未開封が10個もたまっていたとか、おもしろおかしい超リアルな話が満載のエッセイ。読まれてない方はぜひ。なんとなくそろそろちくま文庫あたりに収録されそうな気もしますが。評価A−

http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/pickup/interview/tanaka_s/