半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)

いまさら読んでみました。最近いまさら読んでみましたシリーズが多いですね。今年に入ってからビジネス書の読書量が増えたので、相対的に小説の新刊をほとんど読まなくなってしまいました。しばらくこの傾向は続きそうです。今月の文芸書は本屋大賞をあからさまに狙ってるようなタイトルがわらわら出ておりますが、すみませんが一切読んでおりません。チェックする時間がなくて評判のよいものや売れてるものだけをあとから読みますので、必然的にいまさら読書が多くなってしまいます。
前置きが長くなってしまいましたが、今日は村上龍先生の「半島を出よ」です。本屋大賞には全くノミネートされる気配がない村上さんなんですが、書店員には人気が無いのでしょうか?それとも存在が大きすぎて投票の対象と思われていないのでしょうか。新作が出てないのでよくわかりませんが、とりあえず実力は折り紙つきです。私が保証します。なんなら太鼓判を押してもいいです。
で、これもいつもの村上龍ワールドが炸裂しています。北朝鮮のコマンドが、福岡を電撃的に占領してしまう近未来の日本が舞台。狡猾な北朝鮮部隊の占領策の前にパニックになり、何も出来ない日本政府。しかしこの事態に、社会から逸脱した少年たちが静かに立ち上がるのだった、という話。
五分後の世界」と「希望の国のエクスダス」と「愛と幻想のファシズム」と、何か読んだことがあるような過去の村上龍作品がごちゃまぜになってような作品に仕上がっております。村上龍ファンなら間違いなくOKの作品です。
ただし、普通の作家さんならば、GJ!と素直に言える作品レベルではあるのですが、他ならぬ村上龍が書いたものとしては、もう少し上のレベルのものを期待したかった気がします、何を贅沢言ってるんだ、と言われるかもしれませんが、この作品は多分村上龍作品の中では平均レベルぐらいだと思うんだよなぁ。評価A−