本屋大賞読書週間

今週から本屋大賞候補作の読書週間です。

ジョーカー・ゲーム

日本陸軍のスパイを主人公にした連作短編集で智謀を尽くした頭脳戦みたいな煽り文句があり、しかも「このミス」２位ということで期待して読んでみたのですが…、うーん、期待は残念なほうに裏切られました。
この小説よりも、実際に活躍したスパイのノンフィクションのほうがはるかに面白いと個人的には思うんですが。そんなことないですか？新潮文庫の「秘録陸軍中野学校」なんてすごく面白いですよ。「ジョーカー・ゲーム」でも、最後に著者がこの本を参考にして書いたみたいなことを記していますが、三年前に公安関係の本を好んで読んでいた時期に私もこの本に出会い、そのときに感想もアップ（http://d.hatena.ne.jp/chakichaki/20041129）しております。そこにも書いたんですが、戦争当時の日本のスパイの仕事のスケールの大きさは想像を絶しており、完全に「事実が小説よりも奇」なのですね。
この「ジョーカー・ゲーム」はどちらかというと、そのかつてのスパイ組織の面白い話の中でも、すごく小さな部分のみをクローズアップしているので、物足りない印象をうけました、というかちょっと勿体無い。この題材であれば、もっと面白い話ができるはずなので、次回作に期待でしょうか。評価Ｂ-。