本屋大賞読書週間

流星の絆

流星の絆

東野作品が不思議と非常に苦手でして、今回も最後まで読めるか危ぶまれたのですが、途中何度か放り出しながらもなんとか読了。
東野作品をなぜ途中で放り投げてしまうかというと、内容が退屈だとか、文章が合わないとか、そういう理由なのではなく、むしろ逆でして、読んでいるとあまりにもハラハラドキドキしすぎて、読んでられなくなるという、ちょっと恥ずかしい理由なのでございます。ホラー映画とかを見ていて、あまりにも怖すぎて観るのをやめてしまう、という感覚に近いです。感情移入しすぎてしまうんですよ、何故か。
そんなわけで、滅多なことでは東野作品には近寄らないようにしてるんですが、しぶしぶ読んでみたところ、この「流星の絆」、完璧なエンターテイメント作品でした。エンターテイメントであることに全く迷いがないですね。すばらしいです。これを面白くないと言える人は、かなり少数派なのではないかと。
ストーリーの骨格自体は、そう珍しいパターンでもなんでもなくて、最初の数ページで物語の構造は大体のところは予想できてしまうのですが、個々のキャラクターの設定が非常に考えられていて、しかも物語の最後に、しっかりとそれぞれが収まるべきところに収まっていくという回収の仕方が、非常にすばらしくて、これはレベルの高い小説を読んだと感心しました。これぞミステリ小説、さすがですね。評価A−