サエズリ図書館のワルツさん

サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)

サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)

最近流行りのほのぼの図書館モノである。登場人物たちは、図書館の本を通して人生に自分の生きる意味を見出したり、元気になったり、する。
他の作品とちょと違うのは、この図書館が存在するのが、とっくに紙の書物が電子書籍に駆逐されてしまった未来の話であるという時代設定。そこでは紙の書物自体が、すでに貴重品になっており、教科書がすべて電子化されて久しい。おまけに近未来では大きな戦争が起こったらしく、大半の紙の書物はそのときに焼失してしまっている。そんな中で昔ながらのスタイルで紙の本を無料で一般の読者に貸し出す図書館の存在自体、奇跡に近い。これはそんな図書館での話である。おっと近未来SFだったのかぁ!
ま、でも登場人物たちは、図書館の本を通して人生に自分の生きる意味を見出したり、元気になったり、するんだけどね。
あとがきで著者が大事なことを書いている。

私達は長い間、治らぬ病にかかっています。
それは、「いつか本がなくなってしまうのではないか」と思い悩む病です。(中略)
私自身は、本の死をおそれたこともあったけれど、「そんなはずはない」と思っていました。何度訪れる「電書元年」も、本を駆逐する事など出来ない、と。
けれど二〇一一年の春、この国をおそった震災の中、もしかしたら本はなくなるのかもしれない、と思いました。

今朝ラジオで日本で唯一、映画用のフイルムを生産していた富士フイルムが、生産を終了するというニュースを聞いた。
http://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/cinematoday_N0045947
やはり思うところはありますよね。