BOOK246

chakichaki2004-12-09

今日は青山一丁目にあるBOOK246です。246とあるくせに246には面しておらず、裏通りにありますので、訪問される方はご注意ください。嘘・大げさ・紛らわしいです。
この店は、PAPERSKYがプロデュースしているという旅をテーマにした書店です。国別エリア別に棚が構成されているのは、六本木にあるTSUTAYA TOKYO ROPPONGIと同じなのですが、どちらの店も元々は石川次郎氏の事務所が企画をしているので、似ているのは当たり前か。川崎のチネチッタにあるプロジェットもそういう意味ではテイストは同じです。BRUTUSの550号「さあ、ブックハンティングの季節です」の表紙にもなっている店なので、ご存知の方も多いでしょう。
店自体は約10坪とこじんまりしています。こじゃれた本と雑貨をこじゃれた感じに置くという、何だかいかにもな棚になっているのですが、こんな売場でも1日に10万ぐらい売ってると聞きますから、大したものです。個人的には、ブータンの写真集と晶文社の「KGBの世界都市ガイド」が気になったのですが、この店の売上にしてしまうのが悔しかったので、自店で取寄せることにしました。面白いと思ったのは、カウンターバックに飾ってある「ドリトル先生全巻セット」。確かにこれ、旅の本だわ。目から鱗です。
ところでこの246について本当に注目しないといけない所は、BRUTUSが言うコンセプトや商品構成なんかではなく、売場の内装なのではないでしょうか。この店は隣にCAFE246というCAFEが併設されているのですが、この246、WIREDなどで人気のCAFECOMPANYがやってる店なのですね。この会社はデザイナーの入川秀人氏が中心になって、商店建築の内装をやっているところです。最近ではEsquireの事務所も、ここが手がけたんだとか。確かにオシャレな売場なのですよ。
つまり、BOOK246は「CAFEと内装で集客して本を売る」という新しい事業モデルなわけなのですね。
果たして東京以外でこのモデルが通用するのかとか、そもそも「それでええんか」は別として、これまで書店の本質とは考えられてこなかった内装デザインが、主役になっているというのは新しいです。確かに私も本が買いたくて書店に来ていることよりも、書店という空間で何か面白いものを探そうとしているということの方が多いので、書店空間にいるだけでも楽しめるように内装をデザインしてしまったほうが、利用客にとってバリューがあるのでしょう。ここで買った本が面白い、のではなく、ここで本を買うこと自体が面白い、っていう発想。246の店先にはなぜか外車が飾ってありますが、246が売っているのは、実は本ではなくて雰囲気なんでしょうね、多分。きっと「246で買った本2000円。246で行って得た何か、プライスレス」とかいうCMに使われるような本屋なのでしょう。何じゃそりゃ。
246の雰囲気づくりは、外見だけにとどまりません。聞いて驚いたのですが、CAFEのBGMに使っているCDプレイヤーは100連奏なのだそうです。100連奏!?適当に無難な有線BGMを流している書店とは、BGM一つとっても雰囲気づくりに対する意識がまるで違います。すごいなー。
CAFE出身という、いわば異業種参入組なのですが、彼らに学ぶことは多い気がします。商品じゃなくて棚。棚じゃなくて売場。売場じゃなくて空間。空間じゃなくて時間。書店がお客様に提供しなければいけない本質って、実はそんなところにあるのかも。メガショップ増殖の反動現象としても、これからこういうセレクト書店も増えていくのでしょう。あんまり好きなタイプじゃないけどね。
総合評価は、好きじゃないので55点です。ちょっと辛いか?でもカレーがあまりおいしくなかったし。ってそれはCAFEのほうだけど。
全然関係ないけど、先日のエルマガの書店特集によると、奈良には「BOOK245」という書店があるのだとか。これまた面白そうな本屋みたいなので、また行ってみようと思ってます。でも、これ246とは全然関係ないんだよねぇ?偶然?パクリ?