旭屋書店ららぽーと甲子園店

chakichaki2004-12-21

先月末に開店したということなので、甲子園まで行って来ました。元々は阪神パークという遊園地があった場所が、巨大なショッピングモールに生まれ変わり、そこのテナントとして入っているという物件です。阪神パーク・・・なつかしい。レオポンとかいたよなぁなどと回想しつつ、25年ぶりに甲子園に来ました。ほんとに球場の目の前です。
そのショッピングモール「ららぽーと甲子園」は、イトーヨーカドーをキーテナントとし、様々な業種のブランドが170店舗も軒を連ねていて、とにかく2階建てで長ーいのが特徴。イオンモールの多くが広ーいのに対して、ここは主通路を歩いているだけで全テナントを見ることが出来るという長ーい商店街のような構造。大げさな表現でなく、本当に何でも買えるところです。これ近所にできたら、毎週でも行ってしまいそう。サイトはこちら(http://www.lalaport-koshien.com/entrance.html
えー、本日もクリスマス商戦のファミリー層のお客様で賑わっておりましたららぽーとですが、ここの旭屋書店が、結構いかした店なのです。

①イかした内装。あの硬派な旭屋書店がなんとグッドラックみたいなパステルカラーなのです。これはビックリ。文藝春秋が「少女向きライトノベルに参入しちゃいます☆」と発表するのと同じぐらいビックリ。しかもこの内装が、結構よいのです。やるな旭屋。なかなか優秀なデザイナーを使った模様。ただし、陳列什器のサイズ指定は大味だったようで、本のサイズに合っていなくて使いにくそうでした。ツメが甘いぞ。
②イかしたレイアウト。主動線上に雑誌を売場奥まで一直線に直列させてしまってました。名づけて「MAGAZINE STREET」だそうです。おお、なかなか類を見ない斬新なレイアウトです。これすごいな。雑誌の集客力を磁石にして客導線の大黒柱を一本売場奥まで通し、その関連ジャンルの書籍棚を、その雑誌列を軸にして蟹の足のように配列するというレイアウトです。大阪難波にあるTSUTAYA戎橋店もこの配列で、レイアウトを組む際にある程度有効な戦術であることはわかっていたのですが、ここまでの規模で確信犯的にやってる店は、そうありません。すばらしい。

③イかした棚板。スチール棚一枚一枚に全部溝がついています。しかも2本。これは、面陳をする際に、アクリル製の備品を使わなくてもいいように棚板のレベルで差しも面陳もできるように設計されているものです。ウッドの棚では、私もいつも作らせているのですが、スチールで実現しているとは・・・やるな旭屋。什器メーカーは泣いたと思うけど。
④イかした検索機。そんなに言うほど広くもない店内は200坪ちょっとだと思うのですが、3台も検索機があり、棚番管理されています。検索はややうざいですが表示は正確。しかもデモ画面で懇切丁寧に検索方法を教えてくれます。
ところが、この旭屋書店甲子園店。いい店なのかというと、答えは否になってしまうのです。こんなにイかす要素が多いのに、中身が伴っていない!!のです。内装はよい。レイアウトもよい。什器もよい。システムもよい。商品もちゃんと入ってる。しかし!しかし!全体で見るといい本屋でない!
というのは、売場陳列が杜撰だからなんですね。簡単に言うと陳列方法がいけてない。メンテがかけられていない。棚が編集されていない・・・。現場力の問題です。店舗の器としてのハード面は一流だけれども、ソフトが生かしきれてないという感じ。ハードの性能はいいんだけど・・・って、まるで某XBOXです。残念ながら、ららぽーとOPENのために閑古鳥が鳴いている近所のダイエーのアシーネの方が、今のところレベルの高い棚作りをしています。確かに甲子園のアシーネはレベル高いんですけど、スーパーの本屋の棚に負ける専門書店ってちょっとどうよ、という気がします。
それでも駅前のアイビー書房が営業時間をミートさせてきていることで分かるように、売上は結構好調そうなのですが、ハードの良さで3年商売できる東京と違って、関西は1年が限界。オープンしたてで運営も安定していないのでしょうが、この店を名実ともにいい店にするには現場スタッフの不断の努力が必要でしょう。
総合評価は70点。がんばれば90点いける、そんな店でした。がんばれ。