BAG’S

chakichaki2005-01-29


バックスと読みます。ここは、自由が丘の駅から徒歩10分ほどの自由通りと目黒通りの交差点にあるのですが、本業はゴルフショップです。80坪ほどの店内は、2Fにゴルフショップ、1Fに本とCDとカフェという、なかなか類をみない組み合わせです。バックスというにはBOOK AND GOLFの略称なんですね。
さてこの目黒通りですが、最近おしゃれなインテリアショップが続々と出店した結果、インテリア通りとも言われるようになり、中目黒近辺から現れるクリエイター崩れと、田園調布近辺から現れるリッチな方々の社交場のようになっているようでして、そんな目黒通りに面しているBAG’Sのお客さんも、そこはかとなくそういう人たちの香りがいたします。
まず店内に入ってみましょう。店内は常にゆったりした空気が流れています。金持ちは余裕が無くてせせこましい店などには来ないのです。入口すぐ脇にはフェア台があるのですが、あるときはプチグラ写真集フェアだったり、洋書バーゲンだったり、とアート系が多いようです。
通路に沿って歩いてみましょう。入って最初にぶち当たる平台は、ビジネス書の平台です。ゴージャス&バブリーな方々がゴルフ用具を買いに来る店ですから、「金持ちになろう」なんて本は置いていません。さすがです。平積みで置かれている本もビジネス書とは言え、どこかブランド本だったり経営指南本だったりとリッチテイストが漂います。

BMW物語―「駆けぬける歓び」を極めたドライビング・カンパニーの軌跡

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とか。
スターバックスコーヒー―豆と、人と、心と。 (THE BRANDING)

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とかさ。いや、どこの店にもあるんですが、ちょっとしか置けない平台にこれが最前列に置いてますから目立つんですな。
次に雑誌の平台です。左側に山積みになっているのが、「LEON」「Straight」「ランティエ」「自由時間」などなど。うーむ、わかりやすいなぁ。平台右側には「I’m home」「Casa」「モダンリビング」などなど。これまたわかりやすいなぁ。右側の棚は、そのまま建築・インテリアの棚になっています。建築・インテリア関係は充実していてきっちり洋書も品揃えしています。その奥の文芸書棚は上から下まで全部面陳されています。
この店は、目黒通りに面した側が全面ガラスばりになっているのですが、そこがカフェの席になっています。カフェの席は15席あまり。いつも4人ぐらいのお客さんが珈琲飲みながら本を読んでゆったりしています。店内に流れるジャズ。外からはガラス越しにカフェでくつろいでいるお客様のうしろにインテリアの棚、文芸面陳棚、アートの棚が見えるように設計されていて、なんだか見てると、こう、金持ちの休日ぅという感じがヒシヒシと伝わってきます。味は普通ですけど私も330円もの大金を払って珈琲を飲んでみました。これで私も自由が丘のお金持ちの仲間入りです。束の間の夢でしたが。
こんなことを書いていると、この店はものすごくオシャレ系な店なのかと思ってしまうのですが、さにあらず。意外と全ジャンル揃えている、というのが驚きです。コミックもあるし児童書も置いているし、文庫も新書も実用書も、レディコミ雑誌にいたるまで全部あるんですよね。ところがそれをほとんど意識させられることはありません。
これがゾーニングの妙です。この店は店内の主導線上や外から見えるところには、絶対にオシャレなものしか置いていないんですね。しかもそれをオシャレに陳列します。ベタな商材はうまーく視線を外した場所にこっそり置いてあったりします。この視線の外し方がうまい。あるんだけど無いように思えてしまう。これはマジックですね。
陳列と商材に強弱をつけて、店の個性を出す。かつゾーニングと店内での客目線の計算をすることで、さらに陳列場所をセグメントする。そうすることで、最小のスペースで最大の効果をあげることができる。という店です。大したもんです。
まぁ、ただ売上の方はいってなさそうですねー。ゆったりしすぎなんでしょう。POSも2台は不要な気がいたします。陳列の強弱という部分では大変勉強になる店ですが、どうせやるならもっと極端な在庫構成にしてもいいのかもなぁとも思いました。総合評価60点。
ゾーニングについては吉祥寺の弘栄堂書店がちょと面白いことをやっているのでそれについてはまた後日、吉祥寺特集をやるときにでも書こうと思います。