誠品書店 敦南店

chakichaki2006-08-01

勝手に本屋ミシュランも50回目になりました。今回は50回目を記念して台北の書店特集です。今をさかのぼること7年前の1999年、台北に革命的な書店がオープンしました。繁華街の中心に24時間営業のカフェ付の三層の大型書店が出現したのです。台湾を一気に書店先進国に押し上げ、国民に誠品スタイルという文化を定着させ、今や台北を代表する名所にもなってしまった誠品書店敦南店について何を今さらなのですが、やっぱりいい書店なので、本屋ミシュランからこの店は外せませんでした。誠品書店は現在約50店舗をやっている台湾で最大の売上を誇るチェーン店ですが、この敦南店は本店機能をもった別格のお店なのです。今日はこの店をレポートします。
誠品の敦南店は1Fが銀行になっていて、書店の本体は2Fにあります。早速エスカレーターで2Fにあがります。
まず目に飛び込んでくるのはカフェ。入口にいきなりブックアンドカフェです。調度品もなかなかお洒落なゲートをくぐると、新刊の平台が並ぶ売場になります。新刊売場は三方に分かれていて、それぞれ台湾の新刊、日本の翻訳ものの新刊、中国大陸ものの新刊が置いてあります。大陸と別になっているのは、台湾の基本言語が繁体字で、北京語が簡体字であるためです。日本の翻訳ものの新刊売場があるのは、台湾の出版文化が、日本の影響を非常に強く受けているためで、たとえば電車男が日本で流行すれば、あれを繁体字に翻訳した電車男が台湾でもベストセラーになります。私が行ったときは、ビジネス書の1位は大前研一でしたし、5位も大前研一でした(なんでだ?)

さて、書籍の売場に目を向けてみましょう。基本がウッドで出来た格調ある質感に、工業製品的な直線をなるべく感じさせないような空間のデザインは非常に落ち着いていてすばらしい雰囲気です。しかも、店舗のレイアウトとゾーニングの作り方が非常に斬新なのです。まず幅4メートルほどある広い主通路が、フロアの中心を貫いています。この主通路の両脇に小部屋がいくつも並んでいます。部屋はパーテーションや棚で仕切られていて、中は世界観が演出できるように一つのジャンルごとにまとめられています。つまり、ここはビジネス書の部屋、となりはアートデザインの部屋、中国文学の部屋、お料理本の部屋というように、ジャンルごとに部屋になっていてそれが連なっているわけですね。さらにどの部屋も真ん中の主通路に面していて、そこに今そのジャンルの中で話題となっている新刊や旬の商品を平台に積んでビジュアル的に陳列しているのです。この店を訪れた人は、このフロアの真ん中の通路を歩くだけで、各部屋の旬の商材をチェックすることができ、気に入ったジャンルがあれば、その小部屋に入ってその世界観に思う存分浸ることができるというわけ。いやー、すばらしいです。

さらに構造的に面白いのは、その小部屋の外側にも外回廊があり、50センチぐらい床のレベルがあがっていることでしょうか。台湾の人は、この階段の部分や外回廊にじかに座ってゆっくりくつろぎながら本を読んでいます。台湾の座り読み文化は、この店からスタートしたと聞いたことがありますが、嘘か本当かは知りません。日本ではまずほとんどありえないことですが、建物の窓の部分だけには本棚がなく、陽光がさしこむ構造になっていることで、この外回廊の座り読みの雰囲気も何とも言えない温かみがあって、これまたすばらしいんですよ。こういう本屋を作りたいんだよ私は。
さて、2階は広いのでまだ続きます。棚の中にも目を向けてみましょう。うわ!棚が三言語同時陳列になっている!えーと、つまり同じタイトルの本なら中国語、台湾語、英語の本を言語で区別せずに一緒においてるということですね。なんかわからんがすげー。品揃えもマニアックです。「東京人」のバックナンバーがこの店では揃っています。日本でもデザイナーに有名な「漢声雑誌社」のコーナーもあります。雑誌と言えば、この誠品敦南店の雑誌売場がアリーナのような円形の形になっていて、TSUTAYA TOKYO ROPPONGIの雑誌売場のモデルになっているということは、ちょっと知られた話ですね。それにしても、こんな店が24時間営業だなんて。
地下にも降りてみましょう。
地下1Fの半分は雑貨のお店が並んでいてデパートの雑貨売場に来たっぽいつくりになっていますが、半分が書店になっています。テーマパークっぽい入口になっているのは誠品地理館。洞窟のようになっている入口をくぐると、大画面があって大自然の映像が流れているかっこいいフロアに。ここはナショナルジオグラフィックのバックナンバーとDVD、及びグッズが販売されてます。お隣は誠品児童館。ボーダーズを思わせる内装が素敵な売場です。児童書だけでなく、知育玩具や英語教材も一緒に売られています。中二階があるのが特徴でしょうか。地下2Fに降りてみました。ここはホールになってるみたいです。私が行った時は、台湾の有名人らしき女性がイベントをやっていて、ものすごい人だかりでした。
全体として、私が過去見てきた書店の中では、Best1。この店みるためだけに台北に行っても損はしないよ、というのは言いすぎかしら。総合評価100点。