プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」に続く京都奈良大阪の古都三都物語シリーズ。確かに日常生活の延長上に舞台は存在しているのに、わけのわからない謎の要素を組み入れて、不思議な世界観を構築してしまうファンタジー小説、といういつもの万城目節は今回も健在。
ただ前二作の出来ばえが非常によかっただけに、今回はちょっと…という感じがしました。
こういうファンタジーは世界設定も大事ですが、そのあとその不思議な世界でどういう話を紡ぎあげるかというのがもっと大事なのです。今回は世界設定の部分で大風呂敷を広げすぎたため、設定の紹介だけで出オチみたいになってしまって、話が広がらなかったのが残念ですね。これだと映像化も無いかな。あればあったで全員集合シーンは見てみたいけど。
評価B−
さて、京都奈良大阪と来たので、次は神戸といってもらいたいものです。万城目さん風にちょっと考えてみました。
「源平オープンザドア(仮題)」
神戸がかつてこの国の首都でだったときがあったことを覚えている人はどれぐらいいるだろうか?今から約900年前、平清盛によって神戸の地に造られ、安徳天皇が住んだ福原京は、ほんの一瞬ではあったが、確かに日本の首都であったのだ。しかし驕る平氏は久しからず。平氏は源氏によって滅ぼされ、福原京の栄華は幻となって終わった。…はずだった。しかしそうではなかった。平家の落ち武者たちは、散り散りになりながらも、いつか神戸の地に平家復活の夢を語り継ぐのを忘れなかった。そう、それは今も。
大輪田泊での日宋貿易で、莫大な利益をあげた平清盛が六甲山のどこかに残したといわれる平家埋蔵金伝説をめぐって、現代によみがえる源氏と平氏の熾烈なスーパー裏バトル!そこに介入する藤原家の末裔を名乗る芦屋の謎の老人。わけもわからず巻き込まれる主人公。埋蔵金へのキーワード「神の戸」とは一体何のことなのか!?
こんな話どうでしょう?ダメですか。そうですか。そうですよねぇ(笑)