赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

ずっと積ん読だったのですが、ようやく読了。読まれた皆さんがおっしゃるとおり、これは桜庭一樹の初期の代表作となること間違いなしで、昨年末にでたのですが、今年いっぱいはこの作品の余韻というか、本屋大賞のノミネートを含めて、話題がずっと残りそうです。
舞台は山陰地方のある旧家、赤朽葉家の三代(正確に言うと四代かな?)にわたる女性たちの話を、戦後の激動する社会情勢を背景にさらりとかつ重厚に書き上げている話です。千里眼奥様と後に呼ばれる一番目の主人公万葉の話が圧巻で、二番目の主人公毛鞠の話はめちゃくちゃ、三番目の主人公瞳子の話は、桜庭さんらしい非常に少女の心情がリアルに描かれている。なんだか、今はリアルで、一代前がファンタジー、その一代前は、もう歴史とか神話化している、という世の中の今の時代の感覚をこんな風に表現した作品を私は読んだことが無く、とても新鮮に感じました。
関係ないけど、これ読んで「プロジェクトX」で放送されたタタラ製鉄復活の話を思い出しました。あれはすごかった。評価A−