昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989

昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989

待望の戦後篇。前作の昭和史は、評価Sというすばらしい本でしたが、今回もその独特の切り口から日本という国を切り取り、軽妙な語り口で分かりやすく戦後を教えてくれます。GHQの占領政治から佐藤栄作までを扱っているのですが、ちょっと詳しいのはGHQ時代ぐらいで、あとは通史という内容の薄さは残念ではあります。それでも大ボリュームなんですけどね。
戦後、日本のとる道は4つ選択肢があった。1つは戦前のように軍隊をもつ「普通の国」に戻ること。2つめは、社会主義陣営にはいり社会主義国家になること。3つめは、軽武装に徹し貿易で生計を立てる通商国家になること。4つめはスイスに代表される中立国家になること。結果的に3番目を日本は選択するわけですが、1つめの国家を目指して改憲再軍備をすすめようとする鳩山・岸(&中曽根)、2つめをめざして挫折する社会党、3つめを強力に推進していく吉田・池田・佐藤(&宮沢)、4つめにしようとしていたマッカーサーを罷免するトルーマン、みたいな構図が非常にわかりやすく解説されていて新鮮でした。
松本委員会の話ばかりで白洲次郎の活躍がなかったり、という点は不満もあるのですが、全体的には○だと思います。評価A−