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サクリファイス

あちこちで褒められているので読んでみました。ツール・ド・フランスに代表される自転車ロードレースを題材にした小説です。ロードサイクルはチーム競技。アシストはエースを勝たせるために自らは捨て駒となって、レースに参加します。誰もが一目を置く実力を持ちながら、勝負への執着心が全然無い主人公は天性のアシストと言える存在。主人公が自転車競技の中で成長していくスポーツドラマ…って、おいおい、また「一瞬の風になれ」小説かよ、と思って読んでいたら、後半一気にその期待は裏切られます。
いい意味で。
この題材であれば、もっと長く書こうと思えば書けたはずなのに、ほとんど中編ぐらいの長さでとどめているだけあって、後半の密度が非常に濃い。そして読み終わったあとに、冒頭の１ページを思わず読み返して天を仰ぎたくなる。
いい小説だと思う。読んでよかった。