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- 作者: 尾崎浩一
- 出版社/メーカー: 彩図社
- 発売日: 2007/08/28
- メディア: 単行本
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この本によると、新風舎のやり方は、まず賞を作って原稿を集めることから始めます。「新風舎出版賞」やら「新風舎えほん大賞」みたいなものから「恋愛文学コンテスト」やら「関西弁あじわい大賞」みたいなものまで、何と年間で、二十二個もの賞をつくっていて、原稿を募集します。ここからがすごいのですが、「原稿を読むな」というマニュアルが存在するらしく、選考される際、原稿は冒頭の十ページと終わりの十ページしか読まれないのだそうです。さすがに大賞とかに選ばれるやつは全部読まれているらしいですが、それ以外は全然読まないそうです。で、集まった作品に対して「賞は惜しくものがしましたが、このまま世に埋もれさすのはもったいないので、出版しませんか?あなたの本が全国八百の書店に並ぶチャンスです!」という営業電話をかけるのだとか。読んでもいない本を褒めるキーワード集というのもマニュアル化されているらしく、「多くの人に読んでもらいたい作品です」とか「世間の風潮に一石を投じる作品だと思います」みたいな定型句でほめまくり、「長年の夢がかなうチャンスです。ご自身の人生がかわるキッカケになります。周りからも注目されます。」とたたみかけて契約にこぎつけるというやり方です。新風舎側は著者と契約さえ出来れば、本の出来はどうでもいいので、結構ひどいものが出来るという評判です。新風舎が本を売ることで儲けようという会社なのではなく、共同出版をもちかけて出資してもらうことで稼いでいるというビジネスモデルだと言われる所以です。著者が出資したお金が儲けにまわるわけですから、出資したお金が本のクオリティに結びつくはずもなく、書店員ならみんな知ってますが、もちろんそんな質の悪い本が全国八百の書店に並ぶわけもありません。
もっと詳しく知りたい方はこの本をお読みください。「原稿を読むな」というマニュアルを作った元新風舎の社員の証言が生々しいです。「素人が書いた本がそんなに売れるわけ無いだろ、甘いよ」と斬って捨てるのは簡単ですが、この本に書かれてることが本当だとすると、ちょと詐欺っぽいよなーという気がするので、だまされた方には同情します。というか限りなく詐欺なんじゃないですか、本当なら。