チャイルド44

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

「このミステリーがすごい」の1位作品です。いまさらです、すみません。ずっと積読になってました、すみません。こんなに面白い作品を積読にしてたこと、心よりお詫び申しあげます。
ミステリー小説の王道と言えば、まあ連続殺人事件がおこって、主人公が刑事か探偵で、意外な犯人がいて、そいつを主人公が追い詰めていくみたいな感じだったりするわけなんですが、この作品が他と決定的に違うのは、追い詰められているのが常に主人公の捜査官のほうだということ。
スターリンの恐怖政治体制下のソ連が舞台。理想的な社会国家(当時のソ連)では、殺人など存在しないという前提があるため、殺人事件を捜査する主人公は、それが当局にばれただけで国家反逆罪でスパイの汚名を着せられ強制収容所送りになるという無茶苦茶な世界。死と隣り合わせの捜査官よりも、犯行を繰り返す犯人のほうがはるかに安全というこの狂った国で、君は生き残ることができるか?(ガンダム風に)
冒頭と最後が若干まずい構成であるものの、ロシア政府が発禁処分にしてしまったこの本の中盤の面白さといったら、思わず何度も電車を乗り過ごしてしまうほど(私は2回やらかしました)で、リドリー・スコット監督で映画化予定というのもうなずける話です。映画版の面白さは保証されたようなものなので、一番キーポイントとなると思われる主人公の奥さんのキャスティングだけを注意して欲しいな。個人的な趣味で言わせてもらえば昔のナスターシャ・キンスキーみたいな感じでぜひお願いしたいものです。
評価A−