フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)

宝島社の「このミス」上位入選常連のフロスト警部シリーズ最新刊が7年ぶりにでました。何せ過去の三作品は、このミス1位、1位、2位、とすべてすばらしい成績をあげているので、本読みとしては読まざるを得ないシリーズなのです。最新刊と言っても、原著がでたのは1995年でもう10年以上前の作品なんですね。すでに著者が亡くなってしまわれたため、今後イギリスで新刊が出ることはなく、日本での未刊行のフロストシリーズは残り二作となるのが確定してしまいました。
フロストシリーズを読まれたことがない方は、ぜひシリーズ一作品目の「クリスマスのフロスト」を読んでいただきたいです。
セクハラ発言連発のむさくるしいオッサン警部が主人公。上司からは完全に煙たがられているけれども、どこか愛嬌があって憎めないキャラ。書類仕事はさっぱりで捜査はいつも行き当たりばったり。幸運からはいつも見放され、まだ捜査中の事件が解決しないうちに、別の事件が発生してしまい、その事件の捜査中にまた別の事件が、てな感じで捜査は大混乱。頭が切れるんだか切れないんだか、よくわからないんだけれども、偶然も味方して、いつのまにか複雑系の事件が解決してしまう。こんな話がやけに面白いのですよ。日本のミステリー小説にはあまり見ないタイプですね。
今回の「フロスト気質」なんですが、上下巻で長いの何の。それでいて基本構造は過去のシリーズと寸分の狂いもなく、ただただ長くなっただけです。確かに面白いんだけど、ここまで長くなくていいやん、と思わず弱音。評価B