新世紀メディア論

新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に

新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に

知ったかぶり週報さんの記事で知った本。読んでみたら猛烈に面白く、かつ衝撃的な一冊だった。
新聞が危ないとか雑誌が危ないとか出版業界が危ないとか騒ぐ前に、新聞・雑誌とは、そもそも何なのか?その本質は何か?そもそも考えるべきじゃない?と問いかけるところから、この本はスタートする。内容はすごいので要約しない。読んでみてほしい。
読んで思ったことだけ書く。
本書は、メディアというものの本質を、明確に抉り出すことによって、既存のパッケージメディアという思考形態の枠に捉われている凡俗のわれわれの世界観を崩壊させ再構築を迫る。ここまで鮮やかだと、自分が京極堂に憑物落としをされたんじゃないかぐらいに感じる。確かに言っていることは実は当たり前で、読んでしまえば、当たり前のことを書いてあるようにしか思えないのだが、確かに読む前は当たり前の世界にはなっていなかったのだ。おそるべき目から鱗本である。
私はかねてから、「書店=雑誌である」そして「書店員=雑誌の編集者」であると常々言ってきたのだけれども、本書を読んでますますそのメディア認識を強いものとした。しかし、そういう私も、われわれ本屋が今まで売っていたのは実は「何」だったのか、その本質を捉え切れていなかったことに気づかされる。私は今まで「情報」を売っているんだと思っていた。でもそうじゃなかった。全然浅かった。
これを読む前日までは、「これからこの業界どうなるんだろう。不安だ」とか思っていたのだが、もうはっきり断言できる。この業界は、この本が書いてある通りになる。不安なのにはかわりはないけど、でも来るべき世界がわかっているなら、対処のしようもあるというものだ。
これは、コンテンツ、そしてメディアにかかわる全ての人が読んでおくべき本。下手すりゃ人生変わるよ、特に学生さん。