くまざわ書店八王子店

chakichaki2005-03-22

ハリーポッターを日本一売ることで有名なくまざわ書店の八王子店です。くまざわ書店はグループのいけだ書店とあわせて全国で100店舗以上ある大きなチェーンですが、どことなく印象は地味め。その発祥の地である八王子店を探検してその秘密をさぐりたいと思います。ちなみに「くまざわ書店」の「くまざわ」は社長一族の名前。「いけだ書店」の「いけだ」は、社長の出身が阿波池田であるという理由で命名されているという典型的な俺様企業です。
さてJR八王子の駅から徒歩30秒という近さの一等立地にあるくまざわ書店ですが、1フロアは約50坪とかなり狭いです。B1から5Fまでで合計300坪ありますが、この形態は渋谷大盛堂書店や町田の久美堂と同じですね。都心では絶滅危惧種に指定されている鉛筆ビル型の総合書店ですが。郊外ではまだ生き残っているようです。
まず1Fですが、雑誌と文芸ベストセラーというお馴染みの顔ぶれです。エンド平台にハリポタがまだ積んであるのはさすがと言うべきでしょうか。昨年の新年会で多くの版元さんを前に「今年の売上はハリポタだけがたよりです」と言い放っただけのことはあります。いろんな意味でちょと真似できない芸当ですね。あと、なぜか奥の棚には回転率の悪そうな人文書が並んでいます。1Fなのに珍しい光景です。こだわりなのでしょうか?
重要文化財級の年代ものエスカレーターに揺られて2階に向かいます。2階は文庫と新書がメインですね。せまい通路幅に高い什器棚が林立しておりますが、基本的にはとりたてて特徴も無い普通の売場です。担当者さん、がんばっているらしく、ところどころにコメントPOPがついているのが散見されます。ただ、花粉症で視力低下中のわたしには残念ながら字が異様に読みづらく、読む気がおこりません・・・。ちょっとねー、黒の細字ボールペンとかで小さい字でコメントPOP書くのはやめたほうがいいっすよ。最近のお客様は、視力普通のときでも読まないかもしれないし、POP書体のレタリングをマスターしたほうがいいっすよ!とさりげなく助言しておきます。
2階より上は、エスカレーターもなく、階段です。まじっすか。あ、エレベーターも1基あった。でも使われてるので階段登ります。
3階来ました。児童書+参考書。めっきり人がいませんねー。エスカレーターないとつらいなぁ。3階は意外にもハリポの展開はほとんど無し。
4階はアートと理工書です。カウンター前のアート平台はなかなかいいセンスです。しかしここまで登ってきて気づいたのですが、この店、こういうプロモーション平台以外には、ほとんどと言っていいほど面陳がありません。壁面の棚はことごとく差し。ビジュアル書であろうと複数冊数あろうと無条件に差し。潔いくらいです。
おそらくこの店のコンセプトととして、タイトル数をなるべく揃える図書館機能を重視しているのでしょう。ただ、ネット書店で簡単に専門書も買える今、図書館機能の充実を最重要項目として重視するのはどうなんでしょうか。今のリアル書店には、図書館機能だけでなく、それ以上に個性的な商材提案力とプロモーション力が求められています。両方あってはじめて一人前の書店なのですが、この店はそういう意味では片手落ちであるように思います。図書館書店を否定するわけではありませんが、こういう店は滞在していてもあまり楽しくないのですよ。
5階は人文専門書のフロアでしたが、さすがにレジがヒマなのか、スタッフが3名いて、うち2名が客注の発注をしていました。それにしても各フロアにレジがあるのでえらくコストがかかる店です。レジは集中タイプにしたほうがよいと思いますよ。
コミック売場はB1にあるのですが、なぜか外階段からしか行けないようになっていて店名もここだけ独立していています。店名は「B1」。うーむ、こんなネーミングセンスなら素直に「くまざわ書店コミック売場」にしておけばよかったのに。なお、この売場の店員さんの接客態度はやや微妙ですが売場はわりとしっかりしていい感じです。
総合的な印象ですが、やはりパッケージが古い、という感じ。いまどき300坪という坪数で図書館だけをやるのは、在庫置ききれなくて中途半端になるので苦しいです。総合評価は60点。八王子店はくまざわの総本山ですが、この店はむしろ全国の標準的なくまざわとは全く異質の店であるみたいですね。本来のくまざわは、「駅前立地にしか出店しない」「ローコストオペレーション」で、書店チェーンとしては優秀な利益率をはじき出している存在ですが、八王子店は昭和で時間が止まってますね。これから変わって行けるのかなぁ?