誠品書店 信義店
台北特集の最後を飾るのは、今年の1月にオープンしたばかりの誠品の最新型旗艦店となる信義店です。敦南店出店より7年、誠品が今新しく考えている最新型の書店モデルはどういう店なのか?広さ3000坪という巨大な店舗を見に行ってきました。
まず、この店の立地ですが、NRT「市政府」駅から歩いて5分のところにあります。実は先に紹介したPAGEONEのすぐ近くにあり、歩いて10分かからない距離。どうもこの店は誠品がPAGEONEに対抗して出店した店であるようです。交差点角地の一等地にビルが建っていて、ここのB2〜6Fまでがすべて誠品という巨大な店です。フロアごとに順番に見て行きましょう。
まず1F。入ったらいきなり自動車が置いていました。しかも運転シミュレーター付きです。このビルの1Fは、基本的にデパートの1Fと同じような構成になっています。デザイナーズブランドやデザイナーズインテリア、生活雑貨、花、アップルストアなど。ちょっと高級な感じがしますね。誠品は本だけでなく、人々の生活に関わる全てのものを提案しようとしているらしく、1Fには本は置いてありません。ちなみにB1・B2にも本はありません。B1もファッションフロアで、B2はフードコートになっています。
では2Fへ。
2Fは新刊をはじめ、雑誌、ビジネス、コンピューター・旅行などが中心のフロアです。カフェもあるけどちょっと隅に追いやられてしまいました。誠品では2Fを「情報書籍のフロア」という位置づけにしているようです。新刊売場は平台ばっかりでだだっ広い空間が広がっています。天井は・・・鏡ばり!?あまり落ち着ける雰囲気ではないですね。では各ジャンルごとに見て行きましょう。
各ジャンル売場の中心には、写真のような円形のブースがあります。これは大きな柱のまわりを取り囲むようにして円形に什器を配しているものですね。この什器は平台が床から900の高さにあり、裏側に抜けています。そう、これは日本でも三省堂書店が採用している什器ですね。それを円形にしているというわけ。この円ブースが、各ジャンル別に存在しており、そこで世界観を表現しようというのがこの2Fのコンセプトのようです。
次に3Fです。ここは敦南でやったジャンル別に小部屋をつくるという発想をさらに推し進めたフロアになっています。主に文学、人文、社会、理工、自然、健康、料理、それと簡体字の専門売場ですね。それぞれ10メートル四方の部屋がいくつも連なっています。廊下に面して旬のタイトルが平積みや面陳されているという売場構成は敦南店と基本的に同じですが、それぞれの売場の什器棚のカラーが部屋ごとに変えてあって、より世界観を明確に演出しようとする部分や、それぞれの平台に薄型液晶モニターが設置されていて、誠品オススメのタイトルがプレゼンされているところなどは、イノベーションされているように感じます。また料理書の部屋は写真でアップしましたが、驚いたことに売場の中央にシステムキッチンが設置されています。一流のシェフを招いて料理の実演イベントを定期的にやっているとのこと。うーむ、書店の発想じゃないなぁ・・・。
4Fは、CD売場と文房具売場もありますが、芸術書と日文書店(日本の本の売場)です。日本の本はどこから輸入しているのか知りませんが、そこらへんの郊外の店の品揃えより余程いいのがショックでした。ただし、フロアにお客さんはほとんどいませんでしたが。芸術書フロアは、やたらPAGEONEを意識して変な什器を入れているのですが、全然機能的でなくて、ダメでした。
5FはKidsフロアです。このフロアは完全にKidsものに徹底していて、児童書を売っているだけでなく、KidsウェアからKidsスポーツ、Kidsインテリアなど、Kidsものなら何でも揃うフロアです。しかも子ども用の「児童探索博物館」という大きな体験型博物館施設もあって、子どもにも楽しめるフロアです。児童書フロアでも多くの子どもたちが座り読みをしていました。
6Fは、高級レストランとホールがあるという構成で、書店はありませんでした。
でかい!書店部分だけで3000坪はやはり半端じゃないですね。「本のデパート」という表現が似合う店です。PAGEONEとの戦いでは、現在こちらの店のほうが優勢だそうですが、どっちにしても赤字だろうと思われます。敦南店と比較すると、確かにイノベーションはされているのですが、個人的には敦南店の雰囲気のほうが全然よかったので、あれを最初に見たほどのインパクトはなかったですね。よって総合評価80点。
帰りの飛行機で「誠品好読」という誠品書店で販売されている専用の読書ガイドを読んでいたのですが、「劇団ひとり」や「藤沢周平」が特集されていました。そのレベルの高さに驚きました。