旭屋書店札幌店

chakichaki2005-09-11

札幌シリーズ第二弾はJR札幌駅の真上にそびえたちますJRタワーの5Fにある旭屋書店です。ちなみにビルが続いております大丸の8Fには三省堂書店が出店しており、札幌駅周辺は巨大書店の過密地帯と言ってよいでしょう。メガショップも個性を問われる時代になってきたようですが、この旭屋書店はどうなんでしょうか?
結論からいうと、エクセレント!大変すばらしい店でした!この店はこのクラスの大書店のお手本とでも言うべき店ではないかと思います。
まず入口すぐの場所には、旭屋書店お得意の連結ベストセラー平台がズラズラ並びます。ほとんどPOPを見かけることのなかった紀伊国屋書店と比較して、そのPOPの量の多さと陳列技術は一方上を行っている感じ。単品の提案力は旭屋の勝ちですね。こういう店は滞在しているだけで楽しくなってきます。
雑誌とベストセラーゾーンをすぎると売場は二手に分かれます。まずは直進してみましょう。通路は主通路が幅広く取られ回廊状なっており、広い店内を一周できるようになっています。この回廊主通路の周りには各ジャンルが順番に配置されています。外周には文芸書ゾーン、次いで人文書ゾーン⇒教育・学参⇒語学⇒医学・看護⇒理工⇒コンピュータ⇒ビジネスで一周するという配置です。流れるようなジャンルゾーニングですね。見事です。一方回廊の内側は、文芸の次にコミック⇒児童書⇒文庫新書となっているのですが、これも違和感無し。回廊上ではそのジャンルの新刊や提案商品がエンドやアイランド平台に配置されており、回廊を一周するだけで全ジャンルの旬の商材を網羅できるという構成になっています。グレイト!この回廊主通路の提案平台+壁面にタイトル数在庫という構成は、オリオン書房のノルテ店と同じ構成ですがここの旭屋の方が完成度が高いですね。売場構成ではこの旭屋は素晴らしい店なのであります。
では質感はどうでしょうか。紀伊国屋札幌本店の質感はおそらく日本最高レベルだと思うのですが、ここの旭屋もなかなかどうして、いい感じなのです。書店の内装の質感というのは照明と壁面の処理方法によって大きく印象が左右されます。一般的に壁面の什器高は手が届くギリギリということで2200なのですが、天井高は2700ぐらいあるので50センチぐらい本棚と天井の間に微妙な空間がうまれることになります。この50センチのデザインがポイント。ただ単に壁がむき出しの店⇒見た目が最悪なのでデザイナーは色々苦心をすることになります。例えば紀伊国屋の1F雑誌の壁面はALL面陳方式でしたが、これは未来屋書店でよく使われているやり方なので私は「未来屋方式」と勝手に呼んでいます。50センチのスペースすら本棚にしている「ジュンク堂方式」の場合は、梯子が必要となってしまいます。一長一短でどれがいいというのはなかなかないんですが、ではこの旭屋書店はどうしているかというとボーダー方式を採用していました。ボーダー方式というのは、書棚よりも前面に壁を隠すようにボーダーを壁面に沿って吊るやり方。ジャンルサインなどはボーダーに設置します。この旭屋がスゴイのは、このボーダーのデザインを壁面だけでなくアイランド什器や柱巻きにもすべて統一して採用しているところ。これをやられるとさすがに本棚の格調が数段アップします。照明は普通に蛍光灯なので紀伊国屋に惨敗ですが、什器の質感では負けていませんでした。
ではサービス面。カフェはないものの売場には椅子が結構置いてあり、ゆったりと時間はすごせそうですね。検索機は7台設置してあって、申し分ありません。
イベントスペースにやってきました。何と!「夕凪の街桜の国」の原画展をやってるではありませんか。素晴らしすぎる!ちょとお高くとまった感のある紀伊国屋に比べて、先日紹介した高橋歩の最新刊が先行販売されていたり、と対象年齢層が若めに設定された提案が多くて非常に親しみやすいですね。私も思わず文庫の仕掛け販売商品を購入してしまいました。

大正時代の身の上相談 (ちくま文庫)

大正時代の身の上相談 (ちくま文庫)

こういう本がPOPつきであちらこちらで仕掛けられている店なのです。楽しくないはずがありません。
まぁ、そんなわけで総合力はとても高い書店です。こういう店を舞台に活躍できるのは、店員さんもきっと楽しいでしょうね。気に入りましたので総合評価90点差し上げたいと思います。