書物狩人 (講談社ノベルス)

書物狩人 (講談社ノベルス)

書物迷宮 (講談社ノベルス)

書物迷宮 (講談社ノベルス)

どんな書物でも、合法非合法は問わず、依頼すれば入手してくれるというスゴ腕のバイヤー、ル・シャスールの話。彼の元には、各国の諜報機関から、今世の中に出回ると世界秩序が崩壊しかねない危険な書物、だとか、公開されると歴史が変わってしまう書物、だとか、誰も見たことがない天才詩人が残したといわれる世界に一冊しかない幻の詩集、だとかを、入手してくれという依頼が次々とまいこむ。もちろん依頼人も、本の所有者も、謀略をめぐらす危険な人物ばかり。しかし、そんな彼らと対等に渡り合うどころか、その卓越した書誌学の知識で時には彼らを手玉に取り、100%仕事を成功させるプロ中のプロ。
まあ、ゴルゴ13の仕事が狙撃じゃなくて本の入手になった、みたいな感じの設定の話なんですが、なかなか面白い。ゴルゴはハードボイルドですが、主人公が暴力を一切使わず、本を愛する平和な人なので、読み口は、どちらかというと、手塚治虫の「ブラックジャック」や細野不二彦の「ギャラリーフェイク」に似てます。この二作品が好きで、しかも本そのものが好きで、さらに歴史も好きという方(それは私のことだ)には、かなり面白いかと思われます。
それにしても、世界秩序が崩壊する可能性のある本、とかの設定をよく考え付きますねー。感心します。本編にでてくる歴史薀蓄は、90%が真実で10%が創作ということなので、結構説得力もあります。評価B