BOOKOFF町田中央通り店

chakichaki2005-01-25

本日は町田のスーパーブックオフです。この店はブックオフの中でもズバ抜けた売上を誇る最大の旗艦店です。坂本社長によると、ブックオフは世界一の古本チェーンらしいので、この店は世界一の古本屋ということになります。売上は月商5500万と言いますから、新刊書店での売上に換算すると、1億2千万は少なくとも売っている勘定になります。間違いなく町田最大の書店と言っていいでしょう。
この店を5年前に初めて見たときの衝撃は忘れられません。正直なところコレが出来たのが自店の近くでなくて本当によかった、と心底思えるちょとシャレにならない店なのですね。
そもそも地下1階地上3階の4階建てのブックオフというところからして反則です。しかも1フロアで100坪ぐらいあります。B1こそアダルトとゲーム・CD・VHSなどのリサイクルという混合の構成ですが、1階はコミックだけ。2階は文庫と新書だけ。3階は単行本だけとなっていて、ほとんど各パッケージジャンルの専門店の集合体です。それがどれだけ激しいかと言えば、たとえば二階の文庫新書売場を例にとってみると分かりやすいかもしれません。文庫の棚本数を数えてみると何と204スパンもあります。えー、都内最大級の文庫品揃えを誇る渋谷のブックファーストでさえ確か170スパンぐらいでしたので、それ以上ってことですか。確かに西村京太郎だけで3スパンぐらいはありますねー。ま、それはちょっとアレなんですけど、要は新刊書店よりも遥かに品揃えがいいという事が言いたいわけですよ、こんちくしょう。
ところで「ブックオフは書店の敵だ」と主張する方は私も含めて出版業界には結構多いわけなんですが、「ブックオフの売場って結構いい売場なんじゃないか」なんていう人にはお目にかかったことがありません。たまに「意外と品揃えがいいんだよ」みたいな話は聞きますが、それはあくまで商品の話です。でも書店員の方ならご存知のはずです。そう、品揃えがよくても売場がダメだと本は売れないということと、そして実はブックオフの売場は機能的にもデザイン的にも洗練されているということ。新刊書店はもっとブックオフの売場から多くを学ぶべきです。
例えば、ブックオフのジャンル分けの細かさって実はすごいのです。むちゃくちゃ細かい小ジャンルの仕切板が全店標準で備品化されて入っています。しかも飛び出しフラグになっているので通路を歩いているだけでジャンルサインが目に入ってきます。この飛び出しフラグはジャンルサインだけでなく「ここの棚は100円です」みたいなのにも使われるわけですが、本当に分かりやすいですよね。なぜこれを新刊書店側が採用しないのか非常に大きな疑問です。こいつの構造を見ると棚板を受ける金具がただ棚をはみ出して長く出っ張ってるだけのものでして、そこに旗がぶら下がっているだけのものです。こんなの簡単にすぐ作れますよねぇ、丸善さん。でもこれがブックオフの備品カタログで見ると1つ3500円もしました。ぼったくるにも程があります。
ブックオフの坂本社長にとっては、旧態依然とした現存の書店業界は、もはや競争相手とも思っていないようです。坂本社長の野望はブックオフによる世界制覇です。町田のブックオフの1階のカウンターバックには巨大な看板パネルがついてました。「世界にはばたくブックオフ!ハワイ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンに続いて欧米各国にも出店を予定しています」。ご丁寧にも凱旋門の写真とかまでパネル掲示されているのですが、ホームページを見ると本当に出店してました。「パリ・オペラ座店」だそうです。怪人も外人もブックオフを利用する時代です。住みにくい世の中になりました。
それにしても、すごい店です。総合評価は75点ぐらいにしておきましょう。新刊書店とは全く違うマーケティング理論で作られている売場なので、同じ評価軸ではありませんが、自宅の近所にこれがあったら確実に常連客になるだろうなぁというのと、自店の近所にこれがあったら確実に失業者になるだろうなぁという意味で、評価は高めです。頼むからうちの店の近くには出店しないでください。
長くなってきたので今日はこのへんで。次回はブックオフがすぐそばに出店してきた時の「傾向と対策」について書いてみます。